月夜の太陽
俯き涙をぼろぼろと落としているお母様の肩をしっかりと抱いているお父様の顔は悲しみと怒りで満ちていた。


無理もない。


カインがそうして生きなければならないようにしたのは本を正せば我々王室や貴族だ。


彼は被害者だ…彼だけが悪いのではない……悪いのは金持ちの身勝手な道楽だ。



『そうか…だからあいつは初めて会った時、自分には名前なんてねぇって言ったんだな』

『エリーとの約束を守ったんだと思います』

『だからあいつはッッあんなに分厚い壁を作って………』



ジオラさんは大きな手で頭を抱えるように顔を隠すと、ぐっと声を堪えるように涙を流した。


ジオラさんの涙を見て、私の目からもおさまってきていたはずの涙がまた零れ始めた。



「私もエリーさんと会えるかしら」

『いつも墓石のところにいると言っていたので会えると思います』

「今度私と一緒にまたカインのところへ行ってくれるかしら?」

『勿論です』

「私も会いたいッッエリーさんにッッッ」

『あぁ、きっと喜ぶよ』



頭を撫でてくれるソルの手があまりにも優しくて、私は年甲斐もなくわんわんと泣いてしまった。


最近は甘えすぎているのか、遠慮なく泣きすぎかもしれない。






< 366 / 471 >

この作品をシェア

pagetop