月夜の太陽
お父様はこれ以上カインの様に誰かが苦しまなくていいように、今以上に人身売買に関しては厳しく取り締まっていくと言った。


その言葉に「そうね」と力強い声で答えたお母様の目からは強い思いが感じ取れた。



『もう泣くな』

「……そうだね、ソルが泣いてないのに私だけこんなに泣いてみっともないよね」

『そうじゃない。可愛い顔が台無しだ』



後ろから私のお腹に腕を回し抱きしめてくれるソル。


私の部屋で2人でこうして過ごすのは2回目。


ソルがいるだけで自分の部屋じゃないような雰囲気で、だけどそれはとても落ち着く空間だった。



「綺麗だね」

『ルナは夜空が好きだな』

「名前がルナだからかな?小さい頃からどんなに泣いていても、夜空を見せると泣き止んでたってお母様が言っていたわ」

『昼の空は?』

「大好きよ。今は夜だってこんなに近くにソル(太陽)がいてくれる。本物のお日様だってソルには敵わないわ」



ソルは私の肩に顔を埋め笑っているようだ。


ソルの髪の毛が頬をかすめくすぐったかったけど、その感覚にさえも幸せを感じずにはいられなかった。



『ルナがそう言ってくれるなら、本当に勝てるような気がするから不思議だ』






< 367 / 471 >

この作品をシェア

pagetop