月夜の太陽
お父様たちの光景に目を奪われていると、腕をエレナにつつかれた。


エレナの目線を追うとソルがこっちに向かって歩いてきているところだった。


思わず顔を下に向けてしまい、ソルの靴先が見えたが中々顔を上げることができなかった。



『どうした?』

「ど、どうもしないよ?」

『じゃあ何で下向いてんだ』

「それは…その………」



隣ではエレナが可笑しそうに笑っていて、それをいつものように怒ろうとしたが、それができないほど私の体は緊張で固まっていた。


どうしようと考え込んでいると、いきなり顎を掴まれ無理矢理上を向かされてしまった。


冷たく細長いが男らしい手を意識すればするほど心臓は煩く騒ぎ、逃れようにも一度銀色と金色の妖艶な目を見てしまったら金縛りをかけられてしまったかのように体が動かなくなってしまった。


ソルの目は魔力を秘めているんじゃないかと疑いたくなる。



『怒ってるのか?』

「…………」

『……分かった、話したくなったら話してくれ』



悲しそうな顔をして背中を向けたソルを後ろから抱きしめた。






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