月夜の太陽
頭上からは珍しくソルの慌てた声が聞こえてきたが、私は更に腕に力を込めソルの体から離れなかった。


お母様たち、事情を知っている女性陣は可笑しそうに声を出して笑い出してしまった。



「恥ずかしかったのっ!!だって好きなんだもんっっ!!!」

『ッッ!?』



目を瞑ってソルの背中に顔をつけている私には周りの様子は分からないけど、少し前のめりになった背中から、ソルが頭を抱えこんでいるんだろうという事は分かった。


ソルの手が私の手の上に重なり、不思議と初めて手を繋いだ日の事を思い出してしまった。



『分かったから、ルナ一旦離してくれないか』

「……怒らない?」

『怒る理由がない』



そう言われ恐る恐る腕を離したが、今度はソルが下を向いたまま動かなくなってしまった。


やっぱりみんながいる前でこんなことをして怒ってるのかもしれない。



『ルナのお陰でソルの貴重な顔が見れたよ。母さんが見ていたら大笑いしていたと思うよ』



フィズさんの言っている意味が分からず私はそっとソルの顔を下から覗き見た。






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