月夜の太陽
俺とシエル様のやり取りに見かねたのか、ジオラさんが口を開いた。



『レイドは森にはいねぇだろうよ』

『何故ですか』

『あいつの事だ、間違いなくローズを殺しにこの城にやって来るだろうよ。カインに受けた屈辱を返すためにな』

『屈辱と怒りをローズ様に向けるというんですか?』

『あいつはそういうどうしようもねぇ奴なんだよ。それに、えらくローズの血に執着してやがるからな』



争いの中心は森にある奴らのアジトではなく、この城。


かと言ってローズ様を別の場所へ移動させるには危険が大きすぎる。



『この城を戦場にするおつもりなんですか』

『まさか。城の裏手に闘技場がある。そこにローズとルナを連れて待機し被害を最小限に抑える。城を壊されてはかなわんからな』

『ルナもですか!?』

『別の場所に隔離するよりも我々の傍に置いていたほうが安全だ』



シエル様の言うとおりだが、妙に胸がざわついた。


だが他にいい案も思い浮かばないため、分かりましたと言うほかなかった。






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