月夜の太陽
『シエル、私も暗部と共に森へ向かうよ』

『馬鹿を言うな。お前は自分の国へ帰れ』

『今更私に遠慮してるのかい?水臭いな』

『他国争いでお前にもしものことがあれば、俺はお前のご両親にも民たちにも合わせる顔がないだろう』



ジェイド様は何を言っているんだとでも言いたげな笑みを浮かべ、そして真剣な顔でシエル様の目を見据えた。



『ローズを苦しめるものたちを滅するのは私の役目だ。ローズを再びこの地へ呼び戻した私のね。シエルだろうと誰だろうと私の役目を邪魔する奴は許さない』



いつになく真剣な顔をしているジェイド様を見て俺は息を飲んだ。


ローズ様を再びこの地へ呼び戻したという話は俺たちには分からないところではあるが、ジェイド様の中でとても重要であり大切であることはひしひしと伝わってきた。



『お前は相変わらず頑固な奴だな』

『シエル程じゃないよ』

『ローズの事を思うなら悲しませるようなことはするなよ』

『あぁ、もうローズにはあんなに辛そうに泣いてほしくはないからね。ローズたちのことは頼んだよ』

『あぁ、任せておけ』



強い信頼関係が目に見えるようだった。


少し羨ましくも感じ、俺にもいつかこういう友ができれば…とは思わずにはいられなかった。










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