月夜の太陽
部屋にはお父様やお母様、リリアさん、フィズさん、エレナたちがいた。


穏やかな雰囲気のようでそうじゃない…無理している雰囲気だ。



「今日はお母様とお揃いみたいだね」

「そうね、私も髪の毛を結い上げてもらえばよかったわ」

「髪型まで一緒にしちゃったら、後ろから見たら区別がつかなくなるじゃない」



ふざけた様にそう言うとお母様は「そうね」と言いながらクスクス笑っていた。


私は笑いながらラキの方に気付かれないよう目線をずらした。


今はいつものように笑ってくれていて、安心した。



『では、そろそろ我々は闘技場へと移るとしよう』

『はい』



覚悟をしていたからなのか、お父様の言葉に対して動揺することも不安を胸に抱えることもなく、私の心は冷静だった。


部屋を出ようとみんなに背中を向けたとき、エレナの泣き声交じりの声に呼び止められた。






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