月夜の太陽
「あたしッッ子供がいるのッッ」

「え?」

「状況が状況だし、中々言えなくて……本当は直ぐにでもルナには伝えたかったのに……こんな時にごめんッッ」



私はエレナに近付きお腹に触れた。


言われてみれば少しお腹が出ているみたいだ。


ここ最近あまりラインの出ないドレスを着ていたのは趣味が変わったんじゃなくて、そういう事だったんだね。



「今どのくらいなの?」

「今、5ヶ月くらいだよ……」

「自分の事ばかりで、エレナの話を全然聞いてあげられなくてごめんね。ここで安静にして待ってて……絶対帰ってくるから」

「約束ッッ」



そう言ってエレナは小指を差し出し、私は自分の小指を絡めた。


エレナの顔は涙で濡れていたけれど、とても綺麗でもう母親の顔つきになっているように見えた。



「ラキ、みんなの事を宜しくね」

「はい、ルナ様もお気をつけていってらっしゃいませ」



みんなに笑顔を向け、ソルの手を握りお父様とお母様の後ろに続き私は戦場へと足を進めた。


絶対にここにまた笑顔で帰ってきてみせると堅い決意を胸に持って………。






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