月夜の太陽
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シエル様の少し後ろに立ち、レイドのいる場所からは見え辛い位置だからか、まだ俺の存在には気付いていないようだ。


初めてビリー様を見たがロナウド様にはあまり似ていない様な気がして、少しだけホッとしている自分がいた。


似ていないほうがあの時の、俺に父を頼むと言った時の顔を思い出さずに済むと思った。



『お前の目の前でローズを見るも無残な姿にしてやる』

『残念ながらお前はここに来ることもできず、カインに殺されたときの様に無様に散る』

『何だと……自分の力を過信している愚かな王だと俺が証明してやる』

『ククッッ』



シエル様が突然喉を鳴らし可笑しいそうに顔を歪めると、レイドは目を吊り上げ不愉快そうな顔を見せた。



『お前の相手をするのは俺ではない。俺はお前の後ろにいる奴を殺らせてもらおう』

『どういう意味だ』

『そのままの意味だ。この者がお前の相手をしてくれる』



シエル様に腕を掴まれ前に出ると、レイドは睨みつけるかのように俺の顔をマジマジと見た。


そして目を細め全身品定めするかのように目線を動かし、口元を歪め怪しげに笑った。






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