月夜の太陽
剣を持つ手が震えている。


いや、手が震えているんじゃなくて剣そのものが震えているんだ。


まるで何かに飢え求めているかのように。



"この状態で奴の心臓を貫けば魂ごと殺せる"

『これで終わらせることが出来る……全て』

"お前には無理だ"

『無理じゃないッッやるしかないんだッッ!!!』



独り言同然の俺の声だけがけたたましく森に響き渡る。


俺たちのこの戦闘のせいで動物たちは避難してしまっているのか、俺が大声を出したところで物音一つ聞こえない静かな空間だった。



"この剣は心の優しいお前には不向きだ"

『ならッッどうしろって言うんだ……今更ッッ!!』

"魂を分離させる術がある"

『そんな術……あるわけがない。ジェイド様やシエル様からも聞いた事がない』

"闇の術は奴らよりも俺の方が詳しい"



この声の正体……もしかして………。


そんなはずはないと思いながらもそうであってほしいと思わずにはいられなかった。






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