月夜の太陽
「ロナウドと結婚しても、このままソルが眠っていてくれればずっと傍にいられるって……そんな最低な事を思ってしまったの………」

『ルナ…………』



泣かないと決めたはずの誓いを破ってしまい、一度溢れた涙は中々止まることはなかった。


洩れる嗚咽を飲み込むように耐えていると、震える体を静めるようにリオが肩を抱いてくれた。



「ソルが好き……愛してるッッ誰よりも、だけどッロナウドの事を知らんふりするなんてッッ私には出来ない」

『じゃあ……婚約解消を止めるの』

「……他にロナウドを救う方法がないもの」



乱暴に何度も擦るように涙を拭った。


ドレスも顔も涙でビショビショで酷い有様だと思う。


寄り添うように頭をくっつけているとリオがあやす様に頭を撫でてくれるため、その優しさが心に浸み込んでくるようだった。



「盗み聞きをして良かったことってある?」

『いいや、子供の頃から聞かなければ良かったと思うことしかないよ』

「そうだよね………」



眉尻を下げ苦笑いを浮かべるリオの顔を見て、私も複雑な顔で返した。


ソル……貴方だったら今の私になんて声をかけてくれたかな。


憎たらしいほど可愛い顔をして眠っている貴方の顔をただ見詰めることしかできない辛さと、こうして傍にいられる喜びを感じている私は酷な現実を突きつけられている今も幸せなんだろうか。


自業自得……今の私にはその言葉がぴったりかもしれない。






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