青春の蒼いカケラ
ノリちゃん。
僕は彼女をそう呼ぶ事にした。
彼女と待ち合わせをして、デートの当日。比較的空いているボーリング場で、トイレから戻ってきて、ふと横を見ると、彼女が隣のレーンに陣取っていたカップルと何やらもめている姿が見えた。あまり大きくないボーリング場だけに、9オンスの玉がひとつしかなくて、取り合いになったらしい。後からそのカップルと一緒にきていた、もう一組のカップルも集まってきて、話が次第にややこしくなった。
相手の女の子たちが引き連れている男達を見ると、だいぶ厳つい目付きをしている。体格からして高校生だろう。
男達と視線が合った。しきりに首を斜めに振って、僕をトイレへと促している。『一緒にこいよ』と云う事らしい。
仕方がないので着いて行くと、当然のように殴り掛かってきた。卑怯な事に二対一だ。それでも今の僕には数のうちに入らない人数。最初は手を出さないようにかわしていたが、それでも執拗に殴り掛かってくる。だがそろそろひとりで残してきてしまった彼女の事も心配になってきた。取り敢えず先にひとりだけチョーパンと金的蹴りで気絶させ、様子を見る事にした。
「おい、お前どこからきたんだ!」
「そんなの関係ないだろ?鰺ヶ沢だ。文句あるのか?」
「うるせぇ!この落とし前、後でしっかり付けさせてやるからな!」
「何ならお前の記憶、ここで飛ばしてやろうか?」
僕はトイレでだらしなく寝そべっている男達を残し、何事もなかったかのようにレーンに戻ると、彼女の手を引いて『逃げよう』と言ってボーリング場を飛び出した。
彼女もちょっと困ったような顔をしている。
駅まで手を繋いで走り、そこでやっとお互い顔を見合わせた。
彼女は息を切らしながら笑っている。とんだ初デートになってしまったが、それでも彼女の笑顔が得られたのならば、僕はそれだけで十分幸せだった。
『また誘うから』と、次の日にちも決めぬままその日は別れ、僕らは逆方向の電車に乗って、それぞれ帰途に就いた。
僕は彼女をそう呼ぶ事にした。
彼女と待ち合わせをして、デートの当日。比較的空いているボーリング場で、トイレから戻ってきて、ふと横を見ると、彼女が隣のレーンに陣取っていたカップルと何やらもめている姿が見えた。あまり大きくないボーリング場だけに、9オンスの玉がひとつしかなくて、取り合いになったらしい。後からそのカップルと一緒にきていた、もう一組のカップルも集まってきて、話が次第にややこしくなった。
相手の女の子たちが引き連れている男達を見ると、だいぶ厳つい目付きをしている。体格からして高校生だろう。
男達と視線が合った。しきりに首を斜めに振って、僕をトイレへと促している。『一緒にこいよ』と云う事らしい。
仕方がないので着いて行くと、当然のように殴り掛かってきた。卑怯な事に二対一だ。それでも今の僕には数のうちに入らない人数。最初は手を出さないようにかわしていたが、それでも執拗に殴り掛かってくる。だがそろそろひとりで残してきてしまった彼女の事も心配になってきた。取り敢えず先にひとりだけチョーパンと金的蹴りで気絶させ、様子を見る事にした。
「おい、お前どこからきたんだ!」
「そんなの関係ないだろ?鰺ヶ沢だ。文句あるのか?」
「うるせぇ!この落とし前、後でしっかり付けさせてやるからな!」
「何ならお前の記憶、ここで飛ばしてやろうか?」
僕はトイレでだらしなく寝そべっている男達を残し、何事もなかったかのようにレーンに戻ると、彼女の手を引いて『逃げよう』と言ってボーリング場を飛び出した。
彼女もちょっと困ったような顔をしている。
駅まで手を繋いで走り、そこでやっとお互い顔を見合わせた。
彼女は息を切らしながら笑っている。とんだ初デートになってしまったが、それでも彼女の笑顔が得られたのならば、僕はそれだけで十分幸せだった。
『また誘うから』と、次の日にちも決めぬままその日は別れ、僕らは逆方向の電車に乗って、それぞれ帰途に就いた。