青春の蒼いカケラ
 隠れられる場所は更衣室にある跳び箱の中。
 精々見付からずに隠れられるのは二人が限界だ。しかも次の体育は水泳。みんな興奮気味に我先に行きたいと主張する。
 結局、ジャンケンで決める事になり、僕は負けてしまった。ジュンちゃんはちょっと後出し臭い感じだったが、それでも負けは負けだ。また次の機会にしよう。
 数学の授業が終わって、二人は猛ダッシュで教室を飛び出して行った。女子が更衣室に入る前に上手く隠れられなければ、下手すれば退学ものだ。僕らが男子更衣室から海パンに着替えて出てきた頃、ハルオちゃんとジュンちゃんが少し上向き加減で戻ってきた。
 『どうだった?』と聞くと、『パラダイスだったよ』との事。次こそ絶対勝ってやる。僕はそう一瞬思ったが、脳裏にノリちゃんの事が頭を過り、『俺、次はパス』とハルオちゃん達に言った。
「なおちゃんにはノリちゃんって云う、列記とした彼女がいるからな。OK仕方ない」
「ああ。せっかく盛り上がってるのに申し訳ない」
「気にしなくていいよ」
 ハルオちゃんのその意見に、全員が頷いた。
 気心の知れたいい連中だ。僕はこの連中は一生大切にして行こうと、その時誓った。


    *  *  *

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