青春の蒼いカケラ
二年生に上がって、一番苦労したのは物理だ。先生が嫌いだった事も手伝って、夏休みが終わった頃には、まったく着いて行けなくなっていた。
勉強もしない。授業も真面目に聞かない。
当然の結果だが、返された二学期の期末試験には、二重線の上に、大きな○がひとつだけ、行儀よく乗っていた。さすがにこんな点数、今まで取った事がない。
憂鬱な物理の授業がやってきた。
その前の授業で返された答案の答え合わせだ。そんなもの説明されたって、何を話しているのか、さっぱり解らない。それでも解答欄に記入する文言だけはちゃんと記憶出来るから不思議だ。前回のテストで成績の悪かった者だけが放課後に残されて、追試を受けさせられた。時間がきて答案用紙を裏返すと、そこには前の試験とまったく同じ問題が記されていた。これならイケる。答えだけならバッチリだ。
案の定、戻ってきた追試は百点満点。当然と云えば当然の結果だが、僕にとってこの程度を覚える事なんか朝飯前だ。
先生の情を感じた瞬間。
その年の二学期の通信簿にも、『3』の文字が書き込まれていた。これで親にも恥ずかしくなく見せる事が出来る。それでも相も変わらず物理の授業は嫌いだ。先生の事が好きなったわけではない。
二学期ももうすぐ終わりを迎える午後の事、いつもの悪ガキトリオが挙って僕の部屋に遊びにきた。授業も午前中で終わりだ。
旅館だけに高級な食材も揃っている。
毛ガニ、アワビ、ウニ。
普段、普通の家庭では簡単に食べられないものばかりが、食べ盛りの高校生の前に並ぶ。
その日以来、悪ガキトリオは毎日のように、僕の家に遊びにくるようになった。冬場、バイクに乗れない季節以外、カッちゃんはいつもバイクでやってくる。ヤマハの400CC。家が遠い事もあって、ひとりだけ別行動だ。
少し前の話になるが、カッちゃんに誘われて、夏に僕もバイクの免許を取りに行った。カッちゃんとは違い、僕の愛車はホンダの400CC。冬場を除き、暇さえあればカッちゃんとツーリングにも行く。
カッちゃんは剣道の達人だ。本人曰くだが、結構強いらしい。
バイクの話になると、カッちゃんは目の色が変わる。僕も毎日のように磨いたりワックス掛けをしたりして、バイクに夢中になった。
* * *
勉強もしない。授業も真面目に聞かない。
当然の結果だが、返された二学期の期末試験には、二重線の上に、大きな○がひとつだけ、行儀よく乗っていた。さすがにこんな点数、今まで取った事がない。
憂鬱な物理の授業がやってきた。
その前の授業で返された答案の答え合わせだ。そんなもの説明されたって、何を話しているのか、さっぱり解らない。それでも解答欄に記入する文言だけはちゃんと記憶出来るから不思議だ。前回のテストで成績の悪かった者だけが放課後に残されて、追試を受けさせられた。時間がきて答案用紙を裏返すと、そこには前の試験とまったく同じ問題が記されていた。これならイケる。答えだけならバッチリだ。
案の定、戻ってきた追試は百点満点。当然と云えば当然の結果だが、僕にとってこの程度を覚える事なんか朝飯前だ。
先生の情を感じた瞬間。
その年の二学期の通信簿にも、『3』の文字が書き込まれていた。これで親にも恥ずかしくなく見せる事が出来る。それでも相も変わらず物理の授業は嫌いだ。先生の事が好きなったわけではない。
二学期ももうすぐ終わりを迎える午後の事、いつもの悪ガキトリオが挙って僕の部屋に遊びにきた。授業も午前中で終わりだ。
旅館だけに高級な食材も揃っている。
毛ガニ、アワビ、ウニ。
普段、普通の家庭では簡単に食べられないものばかりが、食べ盛りの高校生の前に並ぶ。
その日以来、悪ガキトリオは毎日のように、僕の家に遊びにくるようになった。冬場、バイクに乗れない季節以外、カッちゃんはいつもバイクでやってくる。ヤマハの400CC。家が遠い事もあって、ひとりだけ別行動だ。
少し前の話になるが、カッちゃんに誘われて、夏に僕もバイクの免許を取りに行った。カッちゃんとは違い、僕の愛車はホンダの400CC。冬場を除き、暇さえあればカッちゃんとツーリングにも行く。
カッちゃんは剣道の達人だ。本人曰くだが、結構強いらしい。
バイクの話になると、カッちゃんは目の色が変わる。僕も毎日のように磨いたりワックス掛けをしたりして、バイクに夢中になった。
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