青春の蒼いカケラ
 現場で親方が『井上、お前免許は持ってるか?』と尋ねてきた。『はい』と答えると、『じゃあダンプに乗れ』と言う。
 さすがに乗った事はないので、正直に『乗った事がない』と言うと、乗り方を事細かく説明してくれた。
「解ったか?」
「はい」
「それじゃ頼んだぞ」
 僕は再び『はい』と威勢よく返事をした。最初は苦労したが、それでも次第に慣れてくるものだ。
 仕事は新規ゴルフ場の開発。現場で掘り起こされ土砂を運んでは土石場に碁盤の目のように捨てる。力仕事をするよりは、余程楽な仕事だ。
 そんな日々が四ヵ月続いた。
 いつしか仕事も板について、会社でも一目置かれるようになった。社長も信頼してくれている。
 特に目標の金額だったわけではなかったが、四十万ほどの貯金が貯まった事もあって、社長に『しばらく休暇をもらえますか』と切り出した。
 社長は気持ちよく『いいよ』と言ってくれた。これも真面目に働いた
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