青春の蒼いカケラ
からだ。
 僕はその日のうちに東京に戻った。四ヵ月間、溜まりに溜まっていた家賃も払わなければならない。留守にしていたとは云え、これもひとり暮らしをする大人の義務だ。
 家賃を払おうとして、よく考えてみれば今日は日曜日。大家さんに連絡が取れない。
 僕は遊びにきたハルオちゃんと二人連れ立って競馬場に向かった。このレースで勝って来月の分まで纏めて大家に叩き付けてやろう。
 今日のメインは午後八時からだ。
 時間を待って買った馬券は四十倍以上に膨れ上がった。調子のいい時なんてこんなもんだ。
 翌日、大家に家賃を収めてからは、週末毎に競馬にのめり込み、やがて遊んでばかりいたツケが回ってきた。さすがにまたあの現場には戻り難い。
 僕は再就職先を、今度は真面目に探し始めた。

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