青春の蒼いカケラ
 翌日は二人とも仕事を休んで、病院まで付き添ってくれた。和光市の精神病院。いくら今の僕がおかしくても、ここがどのような症状を診ている病院かは解る。
 診断の結果、僕は『幻聴』と言い渡され、その日のうちに入院の手続きを取った。
「早く元気になって、また一緒の遊ぼうぜ」
「そうだよ。お前がいなくちゃ、俺達も寂しいからな」
 彼らの暖かな気持ちも言葉も、今の僕には届かなかった。前にも増して耳鳴りのように色々な人達の声が耳に飛び込んでくる。
 罵声を浴びせる声。
 囁くような声。
 一方的に責めるような声……
 僕は自分の中の『声』と闘っていた。

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