青春の蒼いカケラ
はなくラーメン屋を探しているらしい。
「ああ、あったあった。ここだ」
暖簾に『三吉』と書かれたラーメン屋は、昼時を過ぎているこの時間でも何席か埋まっている。結構美味い。これが味からの人気なのか、馬券場のそばだからなのか、と聞かれれば、僕ならば後者と答える。
満たされた気持ちで向かった馬券売り場は、まだ開催時間まで少しあると云うのに、人の波がうねって見える。
僕は窓口横の売店で専門誌を買って、その勧めに従って対抗○と大穴▲を百円だけ一点買いでチェックをし、マークシートを機械に通した。
1―6
ハルオちゃんがチェックしている予想とは違う。はるおちゃんは『よしよし』と言いながら、自信ありげにモニタと新聞を交互に眺めている。
第一レース開始のファンファーレが鳴り響いた。
レース開始をモニタに噛り付いて見ていたハルオちゃんの表情が俄かに曇った。軸になった馬が出遅れたらしい。
結果は八着。
それでもよく健闘したものだ。
しばらくは自分を納得させるように何度も頷いていたハルオちゃんが、ふと僕の馬券を覗き込んだ。
「ちょっと見せて。お?こりゃ馬連だな。初心者がよく買えたものだ。あれ?もしかして……」
僕は対抗○に付けたはずのチェックが横にずれている事に気が付いた。機械の読み取りミスなのか、それとも僕が印し間違えたのかまでは定かではない。
大当たり。
配当は50.1倍。
ビギナーズラックとはよく言ったもので、まさかたったの百円が五千円以上になるとは、思いもよらなかった。僕はこの時点で記憶が少し飛んでいる。
「ああ、あったあった。ここだ」
暖簾に『三吉』と書かれたラーメン屋は、昼時を過ぎているこの時間でも何席か埋まっている。結構美味い。これが味からの人気なのか、馬券場のそばだからなのか、と聞かれれば、僕ならば後者と答える。
満たされた気持ちで向かった馬券売り場は、まだ開催時間まで少しあると云うのに、人の波がうねって見える。
僕は窓口横の売店で専門誌を買って、その勧めに従って対抗○と大穴▲を百円だけ一点買いでチェックをし、マークシートを機械に通した。
1―6
ハルオちゃんがチェックしている予想とは違う。はるおちゃんは『よしよし』と言いながら、自信ありげにモニタと新聞を交互に眺めている。
第一レース開始のファンファーレが鳴り響いた。
レース開始をモニタに噛り付いて見ていたハルオちゃんの表情が俄かに曇った。軸になった馬が出遅れたらしい。
結果は八着。
それでもよく健闘したものだ。
しばらくは自分を納得させるように何度も頷いていたハルオちゃんが、ふと僕の馬券を覗き込んだ。
「ちょっと見せて。お?こりゃ馬連だな。初心者がよく買えたものだ。あれ?もしかして……」
僕は対抗○に付けたはずのチェックが横にずれている事に気が付いた。機械の読み取りミスなのか、それとも僕が印し間違えたのかまでは定かではない。
大当たり。
配当は50.1倍。
ビギナーズラックとはよく言ったもので、まさかたったの百円が五千円以上になるとは、思いもよらなかった。僕はこの時点で記憶が少し飛んでいる。