青春の蒼いカケラ
社会人脱落編
その日はハルオちゃんが、自慢のノートパソコンを持って現れた。
「これさ。お前にやるわ」
「いいの?」
「いいんだよ。お前のおふくろさんには恩があるからな」
「あまり使ってないみたいだけど」
「ほとんど使ってないよ。今度新しいのを買ったから、遠慮なくもらってくれ」
「本当に?結構高そうだけど」
「その代わりと言っちゃ何だが……」
「何?」
「今度、会社を興そうかってさ。なおちゃんにも手伝って欲しいんだ」
「僕が?何やればいいの?」
「うーん……事務。かな」
「へぇ……で、何をする会社?」
「建築設計事務所だ」
どうやら、ハルオちゃんの真の目的は他にあるらしい。道理で言葉を所々濁す。はっきりとした事を言わないのも、その為だ。
「競馬のデータ収集。なおちゃん、徳分野だろ?」
「ああ、やっぱり」
「名刺。ここに置いておくから、明日からきてくれ」
「解ったよ。他ならぬハルオちゃんの頼みじゃ断れないからな」
「恩にきるよ」
ハルオちゃんはアパートを借りる時も保証人になってくれている。それだけでも、僕には十分過ぎる義理がある。
名刺には地図も載っていた。隣の駅から歩いて十五分。これならば電車で行くより、スクーターの方が絶対に早い。
「これさ。お前にやるわ」
「いいの?」
「いいんだよ。お前のおふくろさんには恩があるからな」
「あまり使ってないみたいだけど」
「ほとんど使ってないよ。今度新しいのを買ったから、遠慮なくもらってくれ」
「本当に?結構高そうだけど」
「その代わりと言っちゃ何だが……」
「何?」
「今度、会社を興そうかってさ。なおちゃんにも手伝って欲しいんだ」
「僕が?何やればいいの?」
「うーん……事務。かな」
「へぇ……で、何をする会社?」
「建築設計事務所だ」
どうやら、ハルオちゃんの真の目的は他にあるらしい。道理で言葉を所々濁す。はっきりとした事を言わないのも、その為だ。
「競馬のデータ収集。なおちゃん、徳分野だろ?」
「ああ、やっぱり」
「名刺。ここに置いておくから、明日からきてくれ」
「解ったよ。他ならぬハルオちゃんの頼みじゃ断れないからな」
「恩にきるよ」
ハルオちゃんはアパートを借りる時も保証人になってくれている。それだけでも、僕には十分過ぎる義理がある。
名刺には地図も載っていた。隣の駅から歩いて十五分。これならば電車で行くより、スクーターの方が絶対に早い。