青春の蒼いカケラ
 翌朝、朝九時きっかりに出社すると、ビルの三階にある会社には、窓越しにも既に人影が動いているのが見える。慌てて飛び込んだ会社の中には女性がひとり、書類の整理をしていた。
「おはようございます」
「あら、井上さんね?初めまして。ヒロコと言います」
「井上です。よろしくお願いします」
「井上さんのお仕事はこちらでお願いしますね」
 そう言って彼女が差した方を見ると、デスクの上に最新式のデスクトップパソコンも置いてある。当然のようにネットも完備だ。
「井上さんは、ここでCADの練習をしていてください、との事です」
「解りました」
「社長からの指示ですので」
 僕は『ありがとう』と言って、彼女をまじまじと見た。背は低いが、これまた結構美人だ。
「お茶にします?それともコーヒーの方がいいかしら」
「あ、じゃコーヒーで」
 僕は『ところで』と話を続けた。
「この会社には何人くらい社員がいるんですか?」
「社長と私。あと井上さん以外には営業のヒロシ君だけよ」
「へぇ……少数精鋭って感じですね。この会社、出来てからどれくらい経つんですか?」
「まだ一週間。それにしても社長、遅いわねぇ……」
 何だ?まだ一週間だと?出来立てのほやほやじゃないか。それにしてもハルオちゃんはいったいどこに……
 そう思っている僕の目の前の電話が鳴った。
 内線で直に掛けてくる相手。やはりハルオちゃんだ。
「出社してきた早々で悪いね。浦和競馬の第二レース。予想頼むよ」
「ハルオちゃん、今どこにいるんだ?」
「どこ?って、浦和競馬場に決まっているじゃないか」
 やれやれ。どうやら会社とはとんだ離れた場所に社長は直行しているらしい。僕は三杯目のコーヒーをヒロコさんに頼み、それを飲み乾しながら、予想を立てた。会社を設立したばかりなのに、いったいどこからそんな金が出てくるんだ?
 僕が調べ終わったタイミングで、もう一度目の前の電話が鳴る。さす
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