青春の蒼いカケラ
がにこの辺は気心の知れた仲だ。
僕は上がり三ハロンのデータとオッズを社長に伝えると、電話を切った。出来れば他の社員に睨まれるような事はしたくない。
しばらくCADソフトと睨めっこをしていたが、それも少し飽きてきたので、そろそろ昼飯でも食べに行こうかと席を立った時、再び電話が鳴った。今度は僕の目の前ではなく、ヒロコさんのデスクの方だ。
「井上さん。社長からの伝言なんですけど」
「ハルオちゃんが、何て?」
「今日はもう上がっていい、だそうです」
「へ?ああ、じゃあそうさせてもらおうかな」
「お疲れ様でした」
「では、お先に失礼します」
僕は間違っても連れ戻されまいとして、そそくさと会社を出た。
結局、僕はCADの為ではなく、競馬の為だけに呼ばれたのだ。
帰りに寄ったコンビニでノリちゃんに『今から会えないか?』とメールを送った。普通のサラリーマンならまだ働いている時間だ。十分、二十分とコンビニの店内をウロウロしながら返事を待っていたが、一向に鳴る気配がない。仕方なく電話を掛けてみたら、『お掛けになった電話は……』と、無味乾燥のアナウンスが流れる。どうやらノリちゃんの携帯は電源が切れているようだ。
コンビニで昼飯を買って、アパートに帰った。パンをかじりながら、昨日もらったパソコンを立ち上げてみる。会社のパソコンとは違い、この部屋はまだネットが通っていない。
お釜のスイッチを入れてから冷蔵庫を開けてみて、おかずがない事に気付いた。
仕方ない。今から買い出しに行こう。スクーターに乗って大泉のスーパーまで向かう。途中見掛けた家電屋に飛び込み、早速インターネットを申し込んだ。今なら一万円キャッシュバック。工事は早ければ三日後だ。
買い物を済ませ、『ラッキー』と思いながら帰り道、Dトールに立ち寄った時、ハルオちゃんからメールが入った。
――今日はありがとう。お蔭で百万になったよ――
僕は上がり三ハロンのデータとオッズを社長に伝えると、電話を切った。出来れば他の社員に睨まれるような事はしたくない。
しばらくCADソフトと睨めっこをしていたが、それも少し飽きてきたので、そろそろ昼飯でも食べに行こうかと席を立った時、再び電話が鳴った。今度は僕の目の前ではなく、ヒロコさんのデスクの方だ。
「井上さん。社長からの伝言なんですけど」
「ハルオちゃんが、何て?」
「今日はもう上がっていい、だそうです」
「へ?ああ、じゃあそうさせてもらおうかな」
「お疲れ様でした」
「では、お先に失礼します」
僕は間違っても連れ戻されまいとして、そそくさと会社を出た。
結局、僕はCADの為ではなく、競馬の為だけに呼ばれたのだ。
帰りに寄ったコンビニでノリちゃんに『今から会えないか?』とメールを送った。普通のサラリーマンならまだ働いている時間だ。十分、二十分とコンビニの店内をウロウロしながら返事を待っていたが、一向に鳴る気配がない。仕方なく電話を掛けてみたら、『お掛けになった電話は……』と、無味乾燥のアナウンスが流れる。どうやらノリちゃんの携帯は電源が切れているようだ。
コンビニで昼飯を買って、アパートに帰った。パンをかじりながら、昨日もらったパソコンを立ち上げてみる。会社のパソコンとは違い、この部屋はまだネットが通っていない。
お釜のスイッチを入れてから冷蔵庫を開けてみて、おかずがない事に気付いた。
仕方ない。今から買い出しに行こう。スクーターに乗って大泉のスーパーまで向かう。途中見掛けた家電屋に飛び込み、早速インターネットを申し込んだ。今なら一万円キャッシュバック。工事は早ければ三日後だ。
買い物を済ませ、『ラッキー』と思いながら帰り道、Dトールに立ち寄った時、ハルオちゃんからメールが入った。
――今日はありがとう。お蔭で百万になったよ――