青春の蒼いカケラ
「入れる物がなくちゃ恰好が付かないだろう」
「いいの?」
「いいのいいの。なおちゃん頼みだから。それにしてもなおちゃん方式はよく当たるよな」
「だったら遠慮なくもらっておくよ」
「穴までぴったり言い当てる。予言者みたいだな。正直驚いたぜ」
ハルオちゃんは上機嫌だ。昨日の競馬の興奮を、身振り手振りで細かく説明している。僕はそれをニコニコしながら聞いていた。
「そう言えば、会社はどうだ?少しは慣れてくれたか?」
「うん。CADも少し解るようになってきたよ」
「それはよかった。で、ものは相談だけど、給料。いくら欲しい?」
「そうだなぁ……二十五万くらい?」
「いいよ。じゃあ月末締めの十日払いな」
「うん、解った」
僕はこれで福祉課の縛りともさよなら出来る、と内心喜んだ。スクーターひとつで文句言われなきゃならないような生活とも、これでおさらばだ。
「雇用保険もちゃんと作っておいたからな」
ハルオちゃんも、ウェイトレスに『ビール』と注文した。テーブルに運ばれてきたビールを、手で持つ前に口から迎えに行って、口中泡だらけにする。
「どうだい?研究の方は・順調に進んでる?」
「ああ。元手が二百万あれば、確実に増やせるね」
「二百万?どんな買い方だい?」
「所謂『転がし』って買い方だよ」
「転がしかぁ……ちょっと詳しく話してくれないか?」
僕はその買い方を、ファミレス備え付けのナプキンに書いて見せた。
まずは百円だけ購入する。
次に、勝てばそのまま百円で続投。もし負けたら倍の二百円で購入する。
負け続けている間は、順に倍額に増やして行く。もし勝てば、その時点でまた百円に戻す。
「へぇ……そんな買い方があるんだ」
「いいの?」
「いいのいいの。なおちゃん頼みだから。それにしてもなおちゃん方式はよく当たるよな」
「だったら遠慮なくもらっておくよ」
「穴までぴったり言い当てる。予言者みたいだな。正直驚いたぜ」
ハルオちゃんは上機嫌だ。昨日の競馬の興奮を、身振り手振りで細かく説明している。僕はそれをニコニコしながら聞いていた。
「そう言えば、会社はどうだ?少しは慣れてくれたか?」
「うん。CADも少し解るようになってきたよ」
「それはよかった。で、ものは相談だけど、給料。いくら欲しい?」
「そうだなぁ……二十五万くらい?」
「いいよ。じゃあ月末締めの十日払いな」
「うん、解った」
僕はこれで福祉課の縛りともさよなら出来る、と内心喜んだ。スクーターひとつで文句言われなきゃならないような生活とも、これでおさらばだ。
「雇用保険もちゃんと作っておいたからな」
ハルオちゃんも、ウェイトレスに『ビール』と注文した。テーブルに運ばれてきたビールを、手で持つ前に口から迎えに行って、口中泡だらけにする。
「どうだい?研究の方は・順調に進んでる?」
「ああ。元手が二百万あれば、確実に増やせるね」
「二百万?どんな買い方だい?」
「所謂『転がし』って買い方だよ」
「転がしかぁ……ちょっと詳しく話してくれないか?」
僕はその買い方を、ファミレス備え付けのナプキンに書いて見せた。
まずは百円だけ購入する。
次に、勝てばそのまま百円で続投。もし負けたら倍の二百円で購入する。
負け続けている間は、順に倍額に増やして行く。もし勝てば、その時点でまた百円に戻す。
「へぇ……そんな買い方があるんだ」