青春の蒼いカケラ
新学期の途中で転校の手続きを済ませ、まだ新築の香り漂う我が家から初めて通う大沢中学は、同じ神奈川県にある中学校なのにも拘わらず、どこかその雰囲気に馴染めず、最初の一ヶ月ほどは誰とも口をきかずに過ごした。
そんな僕を見かねてか、最初に声を掛けてきたのが、僕の後ろの席に座っていたイシイ君だった。
「おい、お前。どこからきたんだ?」
「横浜」
「横浜?同じ神奈川の横浜か?なんだ、近くじゃん。もっと遠い“ヨコハマ”かと思ったぜ」
イシイ君は体格もよく、クラスでも人気者だ。だいぶ親しくなった今でも、こんなすっ呆けた事を時々口にする。
「サッカー部に入らないか?」
「サッカーか……いいですよ」
「じゃあ、放課後、部室に連れて行ってあげるよ」
最初は単なる話す切っ掛け程度のものかと思っていたが、イシイ君は本当に放課後、僕を部室に連れて行ってくれた。部室の中には十二人の部員がいて、イシイ君の後ろから恥ずかしそうに顔を出す、僕に皆の視線が集まった。
「みんな、こいつさ」
イシイ君がそう切り出した瞬間、顧問の先生が入ってきて、僕はイシイ君に促されるまま、先生と部員たちの前で自己紹介をさせられた。その日のうちに入部届は受理され、僕は見学をしただけで学校を後にした。
その週が明けた日曜日、昼過ぎ頃、イシイ君が家までやってきた。
「なぁ、これからストッキングと短パンを買いに行くんだけど、一緒に行かないか?」
「はい、それじゃ少し待っていてください」
僕が着替えを済ませるまでの間、イシイ君は勝手に上り込んで、母が出した羊羹をぱく付いている。
「お待たせ」
「それじゃ行こうか」
イシイ君の後に着いてスポーツ用品店に向かい、イシイ君の買い物方々、僕の物も一緒に選んでもらって、その日はその場で二人、別れ離れに帰途に就いた。
そんな僕を見かねてか、最初に声を掛けてきたのが、僕の後ろの席に座っていたイシイ君だった。
「おい、お前。どこからきたんだ?」
「横浜」
「横浜?同じ神奈川の横浜か?なんだ、近くじゃん。もっと遠い“ヨコハマ”かと思ったぜ」
イシイ君は体格もよく、クラスでも人気者だ。だいぶ親しくなった今でも、こんなすっ呆けた事を時々口にする。
「サッカー部に入らないか?」
「サッカーか……いいですよ」
「じゃあ、放課後、部室に連れて行ってあげるよ」
最初は単なる話す切っ掛け程度のものかと思っていたが、イシイ君は本当に放課後、僕を部室に連れて行ってくれた。部室の中には十二人の部員がいて、イシイ君の後ろから恥ずかしそうに顔を出す、僕に皆の視線が集まった。
「みんな、こいつさ」
イシイ君がそう切り出した瞬間、顧問の先生が入ってきて、僕はイシイ君に促されるまま、先生と部員たちの前で自己紹介をさせられた。その日のうちに入部届は受理され、僕は見学をしただけで学校を後にした。
その週が明けた日曜日、昼過ぎ頃、イシイ君が家までやってきた。
「なぁ、これからストッキングと短パンを買いに行くんだけど、一緒に行かないか?」
「はい、それじゃ少し待っていてください」
僕が着替えを済ませるまでの間、イシイ君は勝手に上り込んで、母が出した羊羹をぱく付いている。
「お待たせ」
「それじゃ行こうか」
イシイ君の後に着いてスポーツ用品店に向かい、イシイ君の買い物方々、僕の物も一緒に選んでもらって、その日はその場で二人、別れ離れに帰途に就いた。