青春の蒼いカケラ
ない。僕は苦笑いを浮かべながら、軽く会釈した。
ハルオちゃんが僕を事務所に残し、現場責任者と連れ立って現場に行ってから一時間が経った。僕はその間、手持無沙汰で、缶コーヒーを煽り、何度となく時計を見ながら待っていた。
現場から戻ってくるなり、ハルオちゃんは『さて、それじゃ戻ろうか』と僕に言って、先に車に乗り込んでしまった。後から乗り込んだ僕に『温泉なんてどうだ?』と聞いてくる。僕が返事をしあぐねていると、『だったら、ゴルフは?』と追い打ちを掛けてくる。僕はしばらく考えて『そんな気分じゃない』と言い返した。
ハルオちゃんは残念そうな顔をして、『そうか……』と言うなり、車を急発進させた。
僕らは行きと同様、終始無言のまま、東京まで戻ってきた。途中、こちらを向いて話し掛けようとするハルオちゃんに背を向けて、僕はずっと流れる景色をただボーッと眺めていた。この分だと、やはりハルオちゃんの会社に僕が戻っても迷惑が掛かるだけだろう。
ハルオちゃんは僕をアパートの前で降ろし、『じゃ』と言って去って行った。今は彼の気持ちを完全に汲めるほどの余裕が僕の中にはない。『すまない』と心の中で呟きながら、僕はアパートの階段を上って行った。
* * *
ハルオちゃんが僕を事務所に残し、現場責任者と連れ立って現場に行ってから一時間が経った。僕はその間、手持無沙汰で、缶コーヒーを煽り、何度となく時計を見ながら待っていた。
現場から戻ってくるなり、ハルオちゃんは『さて、それじゃ戻ろうか』と僕に言って、先に車に乗り込んでしまった。後から乗り込んだ僕に『温泉なんてどうだ?』と聞いてくる。僕が返事をしあぐねていると、『だったら、ゴルフは?』と追い打ちを掛けてくる。僕はしばらく考えて『そんな気分じゃない』と言い返した。
ハルオちゃんは残念そうな顔をして、『そうか……』と言うなり、車を急発進させた。
僕らは行きと同様、終始無言のまま、東京まで戻ってきた。途中、こちらを向いて話し掛けようとするハルオちゃんに背を向けて、僕はずっと流れる景色をただボーッと眺めていた。この分だと、やはりハルオちゃんの会社に僕が戻っても迷惑が掛かるだけだろう。
ハルオちゃんは僕をアパートの前で降ろし、『じゃ』と言って去って行った。今は彼の気持ちを完全に汲めるほどの余裕が僕の中にはない。『すまない』と心の中で呟きながら、僕はアパートの階段を上って行った。
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