青春の蒼いカケラ
 飯場に着いた僕をカッちゃんが出迎えてくれる。カッちゃんは両手に抱えきれないほどの作業着を持ってきて、僕の部屋の入り口に置いた。
「どうだ?続けられそうか?」
「うん。でもある程度の金額が貯まったら、ちょっと休ませて欲しいんだけど」
「いいけど、どうして?」
「青森に一度、帰りたいんだ」
「いいよ」
「恩にきるよ」
 僕はそれから目標を持って、充実した毎日を送っていた。キタノさんは厳しい人で、一度教えてもらった事を間違えると、容赦なくラチェットでヘルメットの上から叩いてくる。ハルオちゃんが僕の仕事の様子を見にきた。ハルオちゃんの会社とカッちゃんの会社は、どうやら横の繋がりがあるらしい。
 休みの日、僕は福祉事務所を訪ねた。手当を解除する為だ。安定した収入さえあれば。福祉手当なんか切ってしまった方が安心して生活出来る。そのままになっていた上北沢のアパートの家賃を収め、部屋から必要な物資を持って飯場の部屋に戻る。
 そうこうしているうちに四ヵ月が過ぎた。貯金も合わせて九十万ある。
 僕は予てよりの計画を実行に移した。

< 91 / 156 >

この作品をシェア

pagetop