青春の蒼いカケラ
ああ、故郷編

 青森空港に降り立った。夏本番だと云うのに日陰は薄着だと少し寒い。これも東京での生活が長かった僕の変化だろうか。ここからはタクシーに乗って一時間ほどで旅館に着く。前以て伯父さんには連絡してあったので、僕の登場を玄関で温かく出迎えてくれた。
 仏間に通され、両親の遺影に手を合わせた。この旅館は今やおじさん夫婦のものだ。僕も弟もとんとご無沙汰していて、こうして両親の入る墓も管理してくれている。翌日、その墓にもお参りに行ってきた。
 旅館に戻ると、居間で寛いでいる僕に伯父さんが声を掛けてきた。
「なおと、そろそろお嫁さんの候補者とかはいないのか?」
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