Strawberry Junior
「まーな」
「お前正直あいつの事どう思ってんだよ?」
「倉持は只の幼馴染み」

倉持!!!
いつの間にかあだ名変わってんじゃん…。
苗字で呼ばれたのも只の幼馴染みって言われたのも、ショックだったけど、それだけじゃなかった…。

「じゃあ俺、狙っちゃってもいいよな?美寛ちゃんのこと」
「あぁ、煮るなり焼くなり好きにしろ。俺、あんなブス、全く興味ねぇ」

死ぬかと思った…。
その瞬間、私の頭は真っ白になった。
架那汰、私のこと、そんな風に思ってたんだ…。
――――――

中3。
同じ班の、隣の席の田中くんを好きになった。その年に初めて出会ったのに、なんだか心惹かれて、この人が運命の人かも!?って何度も思った。
修学旅行も同じ班で、すっごい優しかった。
昼食も忘れてはしゃいでる男子達にお昼食べよって言えなかった私達女子。3時頃になって食いしん坊の私は、さすがに倒れそうだった。
そんな時…、

「顔色悪いぜ?」

私の頭をぽんってして、尋ねた。

「そ、そう…?」

男の子に慣れてない私はそんなちょっとした事ですっごくドキドキしたんだ…。

「あ、腹減った?」
「うん…」

コクンと遠慮がちに頷いた。

「ごめん、気付かなかった。俺等勝手にはしゃいでごめんな…」

顔を覗き込んで優しくしてくれる田中くんに、すっごくキュンってした。田中くんは、はっきり言ってイケメンではなかったけど、その時ちょっとカッコ良く見えた…。
でも、告ろうとまではしなかった。
高校は違ったけど、高1になっても好きで、でもやっぱり気持ちは薄れていった……。

だから私は本当の恋が解らない…。
軽い女なのかな……。
ちょっと不安になる…。

春間くんへのこの思いも、どうせ今まで通り勘違いで、すぐ終わるんだろな…。
なのに――――――
< 10 / 54 >

この作品をシェア

pagetop