Strawberry Junior
先輩の引退
6月上旬。
今日から3日間は春季(6月だけど)高校体育連盟大会。略して春季高体連。この試合でもし負けてしまったら、到頭蘭子先輩が引退してしまう…。


「力合わせて皆で勝とうっ!!!」
「「「オーッ!!!」」」

小さいけど、最後になるかもしれない円陣を組んで、先輩の掛け声によって、3人で声を張り上げた。
今日はダブルス戦。3人だけだから2人しか出られない。蘭子先輩と棗ペアだから、私は1人、応援座席。

「隣、いいっすか?」

隣の席に人が来るのはよくある事。

「はい…」
「「あ…、架那汰
     美寛…」」

私達の声が見事にハモる…。
久しぶりに架那汰に会った。

「元気にしてた?」

架那汰が尋ねた。

「…うん」
「美寛…」
「何」

つい冷たくなる。

「お前さ、付き合ってる奴居んのか?」
「何?急に。アンタに関係ないでしょ?」
「何怒ってんだよ?」
「別に怒ってない」
「教えてく…」
「今私、試合見てんの。仲間の応援してんの。邪魔しないでくれる?」

教えてくれよ
って言おうとしてたみたいだけど声をかき消した。

「…んだよ?」
「ちゃんと見れないじゃん!」
「…俺さ!」

架那汰も私に負けまいと声を張り上げた。

「お前が好きなんだ!!!」
「は!?何言ってんの!?」

何?今更。
人のこと散々傷つけておいて、今更好き!?

「ワケ解んない!!冗談やめてくれる?」
< 11 / 54 >

この作品をシェア

pagetop