Strawberry Junior
そう思いながら、私は1人、自転車を押して店を出ようとした…。


























「…先輩…、倉持先輩!!」

自分の名前を呼ぶ声に振り返ると…































「春間くん…」
「俺、送ります」
「…え!?でも…春間くん、私と逆方向でしょ?私大丈夫だよ?1人で帰れるよ?」

こんなの嘘。本当は1人で帰れそうになくて困ってた。

「俺なら大丈夫です。でも倉持先輩は女の子ですよ?俺が送らなくて誰が送るんですか?」

『女の子』って…。そんなこそばゆい言葉、ストレートに言わないでよぉ…。そういうの慣れてないから恥ずかしいよ…。
しかも…
『俺が送らなくて誰が送る?』って……、
誰も送んなくていいよ…。

「それに…」

春間くんが続ける。

「倉持先輩、お化けとか、とにかく怖いものは全部大の苦手なんですよね?それも失神するくらい…っ」
「…今、ちょっと笑わなかった?」
「えっと、その…」

なによぉ…。

「バカにしないでよ…」
「いや…、
























可愛いなぁっと思って…」
「ぇ、かっ…///////」

だから!!私、男に免疫無いんだってばっ。そ、そんな…
『可愛い』なんて簡単に言わないでよ…。
てか…

「なんで春間くんが私の弱点知ってるの?」
「この前部活で、俺が皆(後輩達)に、ふざけてホラー映画の怖~い着メロ聞かせてたの覚えてますか?」
「あぁ、あの寒気がして鳥肌立って吐きそうになるヤツ?」
「はい。その時先輩、凄い嫌がってましたから…」
「……うぅ…思い出して寒気して来た…」
「なんか怖がらせちゃったみたいっすね…。気持ち悪い思いさせちゃってすみません…」
「大丈夫…」

じゃない…。私ホントにそういうの無理…。うえぇ…。

「顔色悪いっすよ…?」

見上げると、春間くんが心配そうに覗き込んでいた…。
ボッ…
一瞬にして顔が火照ったのが自分でも判る…。
でも幸いなことに、今は暗がり。
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