シンデレラになりたくて~エリート専務と秘密の恋~
「す…好き」

私がそう言うと圭吾はふわりと笑って私の頬に自分の頬を寄せてきた。

「良かった。俺も、君が好きになった」

え?

私を好きですって?

「う、うそ」

思わず言うと彼はキョロッと私を見た。

「うそじゃないよ。ひどいなあ」

クスクス笑いながら、私の身体に彼の手が伸びてくる。

「あ、あの」

驚いて私が身体を捩ると彼は真剣な顔で真正面から私を見た。

「嘘じゃないから。証明してあげる」

え?え?

驚く暇もなく彼のペースに巻き込まれていく。

今まで、一度でいいから触れてみたかった彼のサラサラした髪に指を絡める。

だけど、遠くから見ていたあの頃よりも、もっと圭吾を遠くに感じるのは何故かしら…。

こんなに近くでその温もりに触れているのに。



< 61 / 122 >

この作品をシェア

pagetop