シンデレラになりたくて～エリート専務と秘密の恋～

―――。

「笠島様、お早うございます」

「ああ、お早う。
チェックアウトして」

圭吾がフロントで精算している後ろで、落ち着かない気持ちでキョロキョロしていた私は向こうから歩いて来る人物を見て青ざめた。

「田村さん…」

彼も私に気付いて驚いた顔をした。

「瑠奈…ちゃん？何で」

田村さんが何かを言おうとした瞬間、圭吾が私を振り返った。

「瑠奈、終わったよ。
行こうか」

私の肩に手を乗せて抱き寄せながらそう言った後で圭吾は言葉を失った。

「田村…くん」

「笠島専務…？！」

田村さんは先ほどよりも更に目を見開いている。

無理もない。私と一緒にこの時間にここにいる、と言う事は、そういう事だと誰しも察しがつくだろう。