シンデレラになりたくて~エリート専務と秘密の恋~
「瑠奈、いいの?追いかけなくても」

歩き去る田村さんの後ろ姿を二人で眺めながら、圭吾が突然言った。

「え?」

「俺はいいから、行って。早く」

そう言って彼は哀しげに笑った。

圭吾…。そんな、哀しく無理に笑うあなたを置いて、行けないわ。

私は彼の腕にギュッとしがみつくと、彼に顔を寄せて涙を堪えた。

「瑠奈…」

彼もそんな私に応えるかの様に私の頭をふわ、と撫でた。


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