ちぐはぐ遠距離恋愛
《ありがとう…。じゃあ、また今度連絡するな。ってことでアオ、真白ちゃんの携番とメアド教えろ
『そういうのは先に真白ちゃんに許可を得てから。代わって!』》
葵先輩の声が近くなった。
《真白ちゃん…教えていい?》
「はい。よろしくお願いします」
《じゃあ教えるね。バイバイ》
「さようなら」
そして数分後、知らない人からメールが来た。
やっぱり高杉先輩で、あたしはちゃーんと登録した。
――――そして約束の日
「真白ちゃん!」
待ち合わせ時間よりも十分近く早いのに、先輩は爽やかに手を上げた。
「すいません、待たせちゃって」
あたしは走って先輩に近づいた。
「俺もさっき来たばっかりだよ」
笑顔の先輩だけど、汗が額に滲んでる。
(嘘つかなくていいのに)
それも先輩の優しさなんだと解釈すると、あたしは何も言えなかった。
「どっか行きたいところある?」
「特には…」
「じゃー、ファミレスにでも行こうか」
「え、ちょ…!」
先輩はあたしの腕を掴んで歩き始めた。
最初は半ば強引だったけど、先輩はあたしの歩幅に合わせて歩いてくれるようになって……。
「ここでいい?」
「はい…」
また優しく微笑んだ。