ちぐはぐ遠距離恋愛
窓側の二人席に通された。
固まるあたしに先輩は「リラックスして」と言ってくれるけど……。
先輩の優しい表情を見る度にあたしの心は紐で縛り付けられるような思いになる。
「真白ちゃん?」
「は、はい」
「アオが言った通りだよ」
「へ?」
高杉先輩はコーラの氷を眺める。
ストローで掻き回す度にカラカラと音がなる。
夏を感じさせるような、涼しげな空気。
「真白ちゃんが好きな人が俺じゃないってことは分かってる」
「………っ」
「それにこの前は酷いことを口走ったから。フラれるのは当たり前だって覚悟はあるよ」
「高杉先輩……」
「だから、遠慮なんてせずに言ってくれる?」
先輩は力無く笑う。
「俺的にも、キッパリ言われたほうが良いから」
先輩の言葉を聞いて、あたしはメロンソーダを少し口に含んで飲み込んだ。
(先輩のためにも……なるんだよね?)
あたしは手をコップから離し、膝に乗っけた。
「先輩……」
「ん?」
「あたし、先輩のこと別に本当に嫌いなわけじゃないです」
「えっ」
「最初は、馴れ馴れしいし、変な人だと思ってました。
でも、先輩があたしを女子から庇ってくれた話を葵先輩から聞いたんです。それに、先輩が毎日飽きずに手を振ってきたりしてくれてて…
あたし、本当はドキドキしてました」