ちぐはぐ遠距離恋愛
あたしを男子なんかじゃなく、女子だと見ていてくれた唯一の人だった。
『可愛い』とか、将ちゃんのふざけた話にしか出てこなくて…。
いや、先輩もふざけてたのかもしれないけど…
それでもやっぱり、
あたしを女子だと認めてくれた。
「だから、嫌いじゃないんです。ただ…恋愛感情としての好きって気持ちがなくて……。
その…ドキッとはして、あれ?って思ったことはあるけど…。えっと…」
何だか、
上手い言葉が見つからない。
「つまり、俺がいいって思ったことはあるが…村野には勝てなかったんだ」
「え…っ?」
「村野、カッコイイもんな」
「い、いやぁ!そんな「何で真白ちゃんが照れてんの?」
あたしはハッとして頭に当てていた手を下ろした。
「い、今のは違っ…「そんなに溺愛されてんだ。羨ましいなぁ、村野」
「だから違うって…!」
「俺さ、真白ちゃんが毎日目で追ってたの知ってるよ」
「う……」
「俺達が知り合う前から、いつも窓から顔出す真白ちゃんを見てた。
それでも、真白ちゃんが見てたのは村野だから、俺の姿が真白ちゃんに映ることはなかったよ」
「あ、…の…」
「でも、俺諦めないよ」
「は?」
「俺、真白ちゃんを振り向かせるように頑張るから」
「そんな…」
「今でも、これからも……好きだよ、真白ちゃん」
「な、な゙っ……」
「村野が嫌になったら、俺んとこにおいで」
「何でですか!」
「……させてやる」
先輩はコーラを飲み込んだ。
「俺を、好きにさせてやるから」