ちぐはぐ遠距離恋愛
熱い、視線で……。
目が離せなくて…。
ドキンと心臓が跳ねた。
胸が、苦しい………。
「ハハっ!真白ちゃん、ドキッてした?」
「え!」
「可愛い」
「可愛くないです!!」
あたしの反応に先輩はまた表情を崩して笑う。
「村野には、負けないから」
「えっ」
「あいつなんかに、真白ちゃんは渡さない」
「っ……」
「だから」と先輩は口を開いた。
体がピシッと伸びる。
「早く俺を好きになれよ」
あたしが望んだ自然消滅は、
諒太を好きな気持ちを無くして、
幼なじみとして、
あいつの隣に少しでも長い時間いること。
いつか、彩夏が言った。
「新しい恋でも見つけたら?」
って。
あたしには到底ムリだと思ってた。
だって、
(諒太と将ちゃん以外は男子として見えない)
それはあたしが奈緒美たちに言われたように、
そこらの男子より男らしいかもってことを自覚し始めていたから。
それでも、
あたしを女子だと見てくれた先輩が、
男子に見えて―――
―――“男"――に見えて
仕方がない………っ
本来はそういうことを望んでいたあたしは、
この気持ちが揺らぐことを拒んでる。
(どうすりゃ…いいんだよ……っ)
あたしは一人、先に店を出た。