ちぐはぐ遠距離恋愛
第三章
希望と揺れるもの
――――「で?」
「はい?」
奈緒美がズイッと顔を寄せる。
あたしはその額を手で押し返した。
「だから店出てきた」
「なんてことを…」
奈緒美はやれやれと言った感じでため息をついた。
「てか、別にどうでもいいでしょ?あたしの恋ばななんて」
「よくないよ!」
奈緒美が机を叩きながら立ち上がった。
「だって好きじゃないし」
「彩夏ちゃんの言う通りだとウチは思うよ」
奈緒美が冷蔵庫からオレンジジュースを取り出しながら言った。
「新しい恋でも見つけろって?」
「うん。村野を忘れるにはそれしかない」
「でも…」
「今のうちにキッパリ自分の気持ちを整理したほうがいいよ」
奈緒美がオレンジジュースをあたしに注いでくれた。
頭を下げながら聞く。
「何で?」
「だって、来年には生徒が増えるんだよ?」
「あ……」
そう。
あたしは中学までも失う。
小学校と同じように合併してしまう。
校舎はあたしたちの校舎を使うから、来年からは合併先の生徒も入ってくる。
「村野は何だかんだでモテるよ?」
「う…」
「遥菜みたいにベタベタしだす女子だってたくさんいるよ?」
「分かってるよ」
「ヤキモチは、辛いよ?」
「ヤ、キモチ?」
奈緒美は頷く。