ちぐはぐ遠距離恋愛
「だって!…海来ちゃんって子と付き合ってたんでしょ?」
奈緒美は少しバツが悪そうに言った。
「それは…」
あたしも何も言えなかった。
「…真白が知らない間に付き合ってたんでしょ?」
「……っ」
「今回だって有り得るよ?」
顔を俯かせるあたし。
海来ちゃんのこと言われたら何も言えない…
ダメだ。
(弱いな、あたし……)
「そうなった時、辛いのは真白だよ?
諦める、というよりは…忘れる!何の感情も抱かない!!」
「そんな…」
(そんなことできたら、苦労しないのに……)
「だから、高杉先輩、好きになっちゃいなよ」
「はぁ?!」
びっくり発言にあたしは開いた口が塞がらない。
(まさにこういうことか…)と納得する。
「それが1番よ!1番!」
奈緒美が人差し指を立てる。
あたしはその細い指をギュッと握った。
「痛…っ」
「それもできたら苦労しません」
奈緒美が力任せに振るのであたしはさすがに離してやった。
フーフーと息を吹きかける奈緒美。
その仕種は、何とも女の子らしくて……。
(今でもわかんない)
“女の子!!"っていう奈緒美より、
“男の子っぽい…"っていうあたし。