ちぐはぐ遠距離恋愛
あたしが本物の男子だったら、こんな中途半端な自分より奈緒美を選ぶと思う。
いや、むしろ絶対選ぶ。
それなのに……
何であたし?
「ねぇ奈緒美、物好きだとは思わない?」
「えぇ?」
「だって万年モテ期の先輩ならあたしなんかより奈緒美レベルの女子がたくさんいたはずだよ?」
「………」
「でも先輩はわざわざこんなあたしを選んで」
「やっぱり変な人だと思う?」
「えっ」
テレビから奈緒美に視線を移すと、奈緒美の呆れたような目と合った。
そしてため息をつかれる。
「ったく、ホントに鈍感というか何というか…」
「あたしが鈍感?」
「まぁ、そのうちその理由も分かるんじゃない?」
最終的には投げやりにされた始末。
(やっぱり相談すべきは彩夏だ)
と改めて確信したあたし。
そしてその数時間後には、言葉の通り彩夏に電話をかけていた。