ちぐはぐ遠距離恋愛
《奈緒美ちゃんの言う通りだと思うよ…?》
「彩夏まで……っ」
あたしも奈緒美のような顔をしてため息をついた。
(このままじゃ、らちが明かない…)
だって、決まっていることはある。
あと二回、
地獄のようなモテ期が来るということ。
《あたしも真白、すっごく可愛いと思う》
「やめてよ、もう…」
《それでも、高杉先輩は違うかもね》
「え…っ?」
高杉先輩は、違う――?
《真白の顔とか外見とか、そういうとこじゃなくて…もっと中身を好きになってくれたんだよ》
あたしの外見じゃなくて、
中身?
(あ、でも。先輩が言うに何だっけ?
あたしは『見た目は何とか、中身は男の中の男』とか、そんな感じなわけで…)
「あたし、中身も男だけど」
「ぁ…いや、…そんなことはないよ!」
彩夏が慌てた声で言うと何か可笑しい。
あたしは少し笑いながら声を出した。
「ホントのことだからさ」
《でも、やっぱり真白は女の子だよ》
「は?《困ってる人見ると頬っておけない。甘いものが好き……将来の夢は保育士さん―――でしょ?》
自分のことなのに顔が赤くなる。
「彩夏!」
「ふふ…ごめんごめん」
謝りながらも、彩夏の可愛らしい笑い声は止まらず聞こえて来る。