ちぐはぐ遠距離恋愛
《でも、やっぱりそういうところが真白にもあるんだって……高杉先輩は気づいてくれたんだよ》
そんな言葉を残して、電話は切れた。
あたしは呆然と立ち尽くす。
その時、さっきと同じように携帯が震えた。
あたしは発信者も気にせずロボットのように耳に当てる。
「もし《真白ちゃん?》
「た、か杉先輩…」
「良かった、出てくれて」
先輩の安堵のため息が聞こえた。
《明後日、遊ばない?》
「はっ?」
《甘いものでも食べに行こうよ》
それは…
何だか呪いが解けたような気持ちだった。
誰も知らなくて、
自分的にも知られたくないけど……。
それでも、
いつか………
いつか気づいてくれる人がいるって、信じてたんだ。
そんなあたしを、きっと見つけだしてくれる人を――。
諒太だって、将ちゃんだって、凌だって……
男の人は、一人も知らない。
知っているのは、彩夏と優香子だけ。
「な、んで…」
《真白ちゃんが、好きそうだから》
「何で分かったんですか?」
声が震えるのが分かった。