ちぐはぐ遠距離恋愛



「そう、ですか」

「じゃあな。村野」


先輩は手を振る。

だけど諒太は動こうとしなかった。



「先輩?」



先輩は屈んであたしの耳に口を近づける。


それが妙にくすぐったくて、あたしは見をよじらせた。


「真白ちゃん」

「せんぱ…っ、くすぐったいですよ」

「待ってる」

「えっ」





「ずっと待ってるから」






児玉するような響きを残して、先輩は口を閉じた。



そして、
離れたかと思いきや……








“チュッ"









頬に柔らかいものを一瞬感じる。


あたしの頭は思考停止。

そんな頭をいつものように一撫でしてから、先輩は「じゃあな」と言って踵を返した。







―――――あれ??


あたし今、先輩に、






『何』された???










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