ちぐはぐ遠距離恋愛
もう呼んでやんない。
そう決めたからには、あたしはとことん意識した。
実際、あいつの前で呼ぶまでには時間がかかってしまった。
でもそれまでにも…。
「それでね、陵本たちとゲーム大会することになっちゃって…」
「真白も大変だね」
「誰が来るの?」
奈緒美の答えにあたしは心の中で少し深呼吸をした。
(よし、間違えない!)
「陵本、水戸、山内…あと村野かな」
「「ふーん…」」
依弥と奈緒美は普通に頷いたけど、
気づいたのは、
舞―――。
「ねぇ、まっしーって、村野のこと村野って呼んでたっけ?」
「呼んでなかったけど……呼ぶようにしたの」
そういったときの爽快感。
なんとも言えないくらいいいものだった。
だって今までいいように遊ばれて来たような気がしてた、そんなような奴を見返せると思うと…
楽しみで仕方なくなってきちゃったんだ。
それに、やっぱり自分の中でも区切りがついたような気がしてる。
幼なじみの諒太は諒太だけど、
あたしの好きな人は諒太じゃなくなった。
一番最初に、他人の前で『村野』と声に出したとき、
好きな人との、別れみたいなものになった。
あたしは、(これからも続けていこう!!)
そう決めた。
だってそうでもしないと、
好きな人と、別れられない。
距離が空かない。
―――――忘れるなんて、
嫌いになるなんて、できっこない。