ちぐはぐ遠距離恋愛



ズザザザッ!!!


と、音をたてて男子があたしの前に立ちはだかる。




「うわっ!!何だよお前ら!」

「「「大野!!」」」

「な、何?」




明らかにおかしい。

男子はお互いに顔を見合わせて「せーの」と息をも合わせた。


「「「コウ先輩を嫌わないでくれ!!」」」

「はぁ??」



みんなでいっせいに「お願いだ!」と頭を下げて来る。

当のあたしは何が何だかちんぷんかんぷん。


「ちょ、顔上げて。

順を追って説明して」


顔を上げた男子たち。

山内に市之塚、鎌瀬[かませ]と……



「えっ……」



思わず声を出してしまったのは、

あたしの目線の先に諒……もとい、村野がいたから。



「実はさ、昨日部活で先輩落ち込みまくってて…」


先に口を開いたのは山内だった。


「へ、へぇ…」


そこで初めて、ここにいるのがサッカー部の面子だと知る。


「で?」

「いや、で?じゃないだろ」


と市之塚。


「だってそれとあたし、何の関係があんの?」

「だから、お前のせいなんだよ!」


と山内が訴える。


「はぁ?意味わかんない。言ったでしょ?あたしと高杉先輩は何の関係もないって」

「そうだけど、昨日の廊下での出来事からなんだよ!」

「昨日の………、あぁ。あたしがひっぱたいちゃったやつ」

「ひっぱた……」


と鎌瀬が呟いた。




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