ちぐはぐ遠距離恋愛



「あのさ…先輩怒ってる?」


あの先輩が怒ってるってことは無いと思うけど

こうやって言われると少し心配になってきちゃった…。


「いや、怒ってない。ただ落ち込んでる」

「やる気のなさが滲み出てる!」

「あんな先輩見てらんない!」


市之塚に山内、鎌瀬が口々に言った。



「……何で?」



それでもあたしからはクエスチョンマークは消えない。


(あたしが先輩を叩いただけなのに)


「怒ってるとかなら分かるけどさ、叩かれて落ち込むってどういうこと?アムロ?あの人アムロ?」

「「ちっがーう!」」


市之塚と山内が叫んだ。

そして市之塚があたしの肩を掴む。


「はっ?ちょ…「お前に叩かれたから先輩は嫌われたかと思ってんだよ!」


(だから……)


「嫌いになられたかもしれないだけで落ち込むとこが意味わかんねーんだよ!!」

「お前なぁ…!!何でわかんねーんだよ!」

「てか触るなよ!!」


あたしの肩を持ち前後に揺らす。

首がカクカクしたまま喋るから、舌をかみそうだ。


「わかんないものは、わかんないの!!」


あたしは隙を見つけて市之塚の肘裏をついた。

これは護身用だから。
市之塚の腕に少し痺れが入るだけ。


「いっ…!!」


あたしの肩は解放された。




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