ちぐはぐ遠距離恋愛
―――――次の日
七月の暑さがあたしたちを悩ませていた。
「暑い…暑い…暑い!!」
奈緒美が苦しそうにハンカチをふる。
冷房が効くにはまだもう少し時間がかかりそうでダメだ。
「うぅ…もう嫌だぁ」
奈緒美がどうしようもないようにスカートをパタパタさせた。
依弥がため息をつきながら下敷きを持ち、
舞が汗をタオルで拭いながら下敷きを持つ。
あたしは下敷きで自分を仰ぎながら、窓の少しの隙間から校庭を眺めた。
まだ授業前の休憩なので校庭には三年生がまばらに散っている。
暑そうに木陰で休む女子の先輩に、元気よく追いかけっこをしだす男子の先輩。
「……………」
特に何も思うことはなく、ただただ眺めつづけていたあたし。
依弥が声をかけてきた。
「水、飲みに行こ?」
「あ…うん」
あたしはゆっくりと席を立った。
そして、廊下に依弥と出て歩きはじめた。
「…真白、大丈夫…?」
「へ…?ごめ、何……っ」
視界がグラリと歪んだ。
足が浮いたような感覚になる。
「ひゃ……っ」
「真白!あ…」
「………っと」
ドンっ…と誰かにぶつかった。
「ごめんなさ……っ」
あたしは依弥に掴まってその人から離れようとしたけど……。
(力が…入らない…)
クタリとまた寄りかかる。