ちぐはぐ遠距離恋愛



「さ、榊原くん!!」

「真白先輩は、俺のものなんで」

「な……っ」


ずかずかと教室に入ってきてあたしを引き寄せる。


「や……っ


体がビクリと拒否反応を示した。
でも榊原くんは気づかず、あたしを引っ張る。


「な、何でそんな嘘をいうわけ?!」

「嘘じゃないですよ、未来ですからね」

「あたしはあんたを好きにはならない!」

「いや、好きにさせますから」


(あー、もうこれはダメだな)


何を言ってもダメな気がしてあたしは肩の力を抜いた。



グイッ……




(えっ)




引っ張られた腕を見る。

あたし好みな腕……ってことは、


「村野?」

「おい、いつからお前はこいつのもんになったんだよ」

「はぁ?今の会話聞いてた?あたしは誰のものでもない」

「さかきばし、だっけ?」

「榊原です」

「どーでもいいけど、こいつそんな簡単にはオチねーよ?」

「大丈夫です」

「大丈夫とかじゃなくてね、こいつ今俺以外の男無理だから」


ちょ、ちょっとちょっと……!!!

こいつは何こんなにケンカを売るようなことを言ってるわけ?

あたし庇ったって何の意味もないじゃない。



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