ちぐはぐ遠距離恋愛
時期は九月の中間。
ここは被服室、だが今は被服室兼、――選挙本部室だ。
選挙とは、一体なんの選挙なのか。
それは――――
「榊原くんは一年生ね?じゃあ総務候補となります」
――――生徒会、だ。
こんなにめんどくさいところに何で俺なんかがいるのかというと……、
それは数時間前の朝に始まる。
「お願いだ龍ー!」
「い、や、だ!」
今は昼休み。
こいつは友達の雄弥[ゆうや]、生徒会選挙管理委員だ。
どうやらこのクラスからの立候補者がいないらしい。
そんな状況、俺らにとってはどうでもいいのに、先生にとっては悔しいらしく…
「じゃあー、推薦票が多かったやつをこのクラスからの立候補者にするからな」
「は?」
いきなり朝の学活で紙を配り始める。
「女子でも男子でも、学級委員でもいーぞ。とにかく自分がついていけるやつ一人選べー」
そうして集計し終えた先生は昼休みに立ち上がった。
「朝に集計したやつだがなぁ…一番票が多かったのは、榊原だな」
「はぁ?!?!」
そして、なぜか俺の名前が呼ばれて昼休み。
雄弥に一緒に本部に立候補しに行こうとせがまれている。