ちぐはぐ遠距離恋愛
だから、だから……。
もっと信じたくなかった。
あたしの知らない諒太を見るのも、そんなあいつを知るのも嫌で、
知らないふりをしていたくて、あたしは泣きもせず、ただ強がることだけに集中した。
六年生のときに入ってきた噂。
最初は、男子から教えてもらった。
本当は、諒太から聞きたかったこと。
「お前、村野諒太って知ってるだろ?」
何でこんなやつらから諒太の名前が出てきたのか、あたしは曖昧に答える。
「ま、まぁね」
(本当は知ってるどころじゃないんだけど)
「じゃあさ、八重島ってやつもお前らと同じ小学校だったか?」
「だれ、それ…」
あたしの言葉に男子は眉をひそめた。
でも、そんな子あたしの学年にも、学校にもいなかった。
聞いたことない、八重島さん……。
「じゃああっちで知り合ったのか…会いてぇな」
「誰に?」
「八重島海来ちゃんだよ」
「何で?」
「可愛いんだってさー」
「へぇ、相変わらず女好きだな」
「うるせぇなぁ」
「で、諒太と何か関係あんの?」
「お前それさえも知らねぇのかよー」
馬鹿にしたような目遣いであたしを見下ろす。
「何も知らないけど?」
(こいつはケンカ売ってんのか?)