ちぐはぐ遠距離恋愛
夏の暑さがまだまだ残る九月の半ば。
生徒会選挙が始まった。
あたしのクラスからは舞が会長候補として出ることになり、その応援責任者にあたしが抜擢された。
二人で申し込みに行くと、そこには榊原くんもいて……
どうやら立候補するようだ。
「あー、緊張してきた」
「いまさら何言ってんだよ」
舞台の上で心臓の辺りを押さえる舞。
照明の熱でただでさえ暑いこの体育館にはまた熱気が立ち篭る。
今日は、選挙当日。
立候補者と応援責任者の立ち会い演説が行われたあとで、投票される。
「舞なれるかな?」
「信任投票だから、絶対平気だよ」
舞以外に会長に立候補する奴は出てこなかったため、舞は信任投票となる。
「あー、でもやっぱり緊張が!」
「大丈夫か?もうそろそろ始まるよ?」
あたしはそう言いながら時計を見る。
あともう五分くらいで他の生徒が入場する時間だ。
「噛まないかな?」
「噛んでも平気」
「転んだりは?」
「しないしない。真白が助けるから」
「ふふっ…頼もしい!真白が会長になればいいのに」
「学年トップの成績を持ってんのは紛れもなく舞でしょ?」
「でも舞、真白だったら一生ついて行ける」
「はは、そりゃどーも」
あたしの反応にカッコイイ!と抱き着く舞。
そんな舞を後ろに生徒たちの姿が見えた。